プロアクティブ にきびの柔軟性
八一人の女性に神経管欠損症の子どもが生まれたが、血液中の葉酸値が低かったのはわずか三・七パーセントにすぎなかった。
そこで科学者は、神経管欠損症のほとんどは葉酸不足のせいではなく、葉酸代謝に問題があったのだと結論した。
「ただし代謝の欠陥は、葉酸を大量に与えれば排除できるでしょう」と、チューリヒ大学附属病院婦人科のR教授は言、っ。
葉酸に医薬品のような治療効果があるのは、代謝に欠陥がある場合だ。
だから葉酸を相手かまわずだれにでも投与するのは意味がないと、多くの専門家は考えている。
『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』誌に掲載されたイギリスの研究では、神経管欠損症の数は一九七〇年代からは急減したが、一九九二年に「葉酸による予防法」が導入されてからはほとんど減っていないことが明らかにされている。
前述のツィマーマン教授は、葉酸投与が広く行われるようになったいまでも、二分脊椎の症例はあるはずだと考えている。
女性は葉酸代謝異常を起こしゃすく、そうなると葉酸の吸収が困難になるのである。
医学雑誌『L』に発表された研究では、葉酸入りのマルチビタミン剤を投与された妊婦に自然流産の発生率が高くなったことも報告されている。
二〇〇一年に発表されたスウェーデンの研究によると、葉酸を服用している母親から双子が生まれるケースが増えているという。
葉酸製剤を服用していた二五六九人の母親のうち、二・八パーセントに双子が誕生している。
スウェーデンの平均は一・五パーセントである。
双子は二分脊椎とは異なり病気ではないが、スウェーデンの研究によると、双子は未熟児で生まれてくる場合が多いので低体重になりやすく、また、脳性小児麻庫のリスクも高くなるので注意が肝心だという。
脳性小児麻庫は子どもが小さいうちに発症する脳障害で、麻俸が残る。
科学雑誌『N』は葉酸投与について、「これでは問題を解決するというより、問題を作り出しているようなものだ」と述べている。
「起こるかもしれない副作用を考えると、妊婦や妊娠を希望している女性全員に葉酸服用を勧めるなど、信じられないことだ」と、ヨーロッパ食品栄養研究所のインフォメーションサービスはいう。
要するに、葉酸は不足しても自然の方法で補うことができるのだ。
葉酸は白菜などの葉野菜や、全粒パン、卵黄、豚のレバーなどにも多く含まれている。
ただレバーは有害物質を含んでいる可能性があるので、妊娠中の女性にはあまり勧められない。
葉酸製剤を服用するなら、早めに始める必要がある。
少なくとも受胎の四週間前までがよい。
だが、葉酸の豊富な食事を毎日摂るほうがより安全だ。
それに、いつまで服用すればよいのか正確に予測できる人などだれもいないのである。
ビタミンA、E、D、あるいは葉酸も飲んでおいたほうがよいとばかりに、妊産婦にビタミン剤やサプリメントを処方するのはあまり意味がない。
そんなことをしなくとも、女性の身体は状況の変化に応じてうまく対処できるのである。
高齢者に不足しているものその反対に、高齢者の場合は栄養不足の人が明らかに多い。
七五歳以上の高齢者三〇〇人を対象にしたハイデルベルク大学附属病院老人医学センターの研究で、被験者の四分の一が栄養不足であり、三分の二に血液中の何らかのビタミン値が基準値を下回っていることが判明した。
とくにビタミンA、C、Eに不足が目立っていた。
高齢者に栄養不足が蔓延している原因はさまざまだ。
多くの人は高齢になると味覚が衰える。
とくに変化のない食事ではそれが著しい。
甘み、酸味、苦み、塩味はかなり高い濃度でないと認識できないし、喚覚も衰えている。
そのためどうしても濃い昧のものを食べたがる。
たとえば塩を利かせた焼き肉や、砂糖たっぷりの甘いケーキなどである。
このような食べ物はカロリーの割にビタミンが少ない。
高齢者は時下や岨鳴が困難になりやすい。
そうすると食べる量が減る。
「それに、とくに軟らかいものを食べたがるようになるので、品数も限られるし、軟らかくなるまで煮ると調理時間が長くなり栄養素が著しく失われてしまう」と、ボン大学老人医学科のF医師は言う。
また高齢者の多くは孤独で、一人で作って一人で食べていることを忘れてはならない。
これでは食の楽しみなどなく、献立も単調になり、それが食事のビタミン値にはね返ってくる。
このように、高齢者に見られるビタミンやミネラルの不足は、第一に、高齢者の社会的孤立に原因がある。
これはビタミン剤では解決できない問題だ。
高齢者の栄養不足は、老人ホームやアパートで独り暮らしを強いられるのではなく、社会の重要な一員として扱われるようになれば著しく減少するだろう。
自分が重要視されていると感じられれば、余生を漫然と過ごすのではなく、人生に生き甲斐を見出そうと思うようになる。
そうすると、栄養側の高い食品を食べたくなるし、変化に富んだ食事を楽しむようにもなる。
そのうえで定期的に歯科医に通えば、自分の歯で生の野菜や果物を食べることもできるのである。
タバコは百害あって一利なしタバコやアルコールが好きな人は、ビタミン不足になるリスクが高い。
アルコール中毒者はとくにビタミンDとBの供給が妨げられる。
アルコールはさまざまな方法でこれらのビタミンの代謝を阻害する。
中毒者の約半数がチアミン、ピリドキシン、葉酸の欠乏症にかかっており、約四五パーセントがビタミンD欠乏症である。
ビタミンC欠乏症にかかっている人も多く、これは新鮮な野菜や果物をほとんど食べないためと考えられる。
喫煙者のビタミン状態も明るいものとはいえない。
タバコを吸う場合のリスクは、もうもうたる煙だけではない。
栄養状態が悪い人も多い。
イエナ大学の学者チームが喫煙者と非喫煙者七三七人の食習慣を比較調査したところ、喫煙者は非喫煙者より平均してかなり栄養状態が悪いという結果が出た。
喫煙者の多くは明らかに果物、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの消費が少なく、その代わりに肉やコーヒーを多く摂り、アルコールの量も多かった。
彼らの献立の栄養素を調べてみると、ビタミンと繊維質がとくに少なく、その一方で動物性脂肪を摂りすぎていることが判明した。
要するに、とくに健康リスクの大きい喫煙者がよりによって不健康な食生活に甘んじているのである。
その結果は歴然としている。
喫煙者は非喫煙者より血液中のビタミンCが三〇パーセントも少ない。
ビタミンEもβ-カロテンも同じくらい少ない。
こういった物質にはラジカル捕捉能があり、がんや心臓血管疾患の重要な予防因子であることが証明されている。
こうしてビタミン不足が明らかになっても、ビタミン剤が喫煙者やアルコール中毒者に効き目があるかどうかは疑わしい。
彼らに不足しているのはビタミンやミネラルだけではないからだ。
抗酸化作用のあるフラポノイドやイオウ化合物などの多くの物質も不足している。
これらは植物の中にしか存在しない物質なので、ビタミン剤を服用しても、喫煙者やアルコール中毒者特有の病気を抑えることはできない。
肝硬変や肺がんはビタミン剤では手の施しょうがないのである。
見せかけの安全は危険「スモーカーズ・スペシャル」や「二〇パーセント・ビタミン配合」などと銘打った、目のありそうな喫煙者用ビタミン剤が市場に出回っている。